2011年12月31日土曜日

1年間ありがとうございました

今年は大変な年でした。
3月のあの日から、あっと言う間に9か月が経ち、平成23年が終わろうとしています。

悲しい出来事がありました。それはいまだに終わってはいません。
でも未来を向いて動き出している人たちもたくさんいます。

いつまでも過去にしばられるのではなく、明るく次のことを考えながら新年を迎えたいと思います。
当たり前のようにお酒を楽しむことができる毎日に、感謝しながら。


宮城県気仙沼市大島小田の浜で見た日の出

2011年12月29日木曜日

しぼりたての本醸造を、今さら考える。辛口の会。

12月24日。
日本中が騒いでいる日に、いつものように栗山駅に降り立つ男が一人。「造り酒屋をもっと知る会 その125」に参加です。

ということで、いつもの構図から始まります。
先月よりも雪が増え、すっかり栗山は冬の景色ですが、それでも空は明るいですね。

例年より暖かいとは言え、それでも冬の空知は寒いです。
雪をしっかり踏みしめながら歩いていきましょう。

記念館に着いてみると、それは寒いはず。こんなにたくさんのつららがぶら下がっています。早速中に入って、身体の中から温めることにしました。

時期的に、新年をお祝いするお酒が多いですね。逆にいうと、もうそういう時期だということです。
今年もいろいろなことがありました、お酒を見ながら1年を振り返ってしまいます。


ちょうど時間になったので、まずは蔵見学からです。
先月見学した時はまだ製作中だった、新しい杉玉の下をくぐると、杉の芳香がして、自分も清められたような気がします。


甑はちょうど休憩中でした。
今日も大量の米を蒸したのでしょうか。お疲れさまです。


仕込み蔵に移動をして、もろみを見せてもらいます。
これは、留のもろみです。見た目でわかりますね。まだまだこれからです。


そしてこれが9日目のもろみです。ここからさらに発酵が進みます。


栗山の寒さがわかるのが、タンクに巻かれたアンカです。
この時期になると、温めないと発酵が進みません。これが3月まで続きます。


いつ見ても壮観な、9台の佐瀬式の槽。
すべてが動いていた時は、さぞかし迫力があったんだろうなと、昔を想像してみます。
1台でいいから、いずれ槽での搾りが復活しないでしょうか。


外に出て見ると、青空が広がっていました。
毎年12月の知る会は、途中から猛吹雪になることが多いので、これは来年いいことがあるのではないかと、勝手に吉兆のしるしにしました。


会議室に移ってからは、本醸造についての考察と、おつまみとの相性体験です。
最初に本醸造についての説明があり、その後、以下の5種類を呑み比べて行きます。
・純米酒
・アル添後の本醸造
・さらに加水+加熱
・アル添本醸造にごり+加水+加熱
・アル添本醸造生+加水

「北の錦」の新酒は例年本醸造から始まるので、その新酒をより楽しんでもらおうという趣旨です。
それぞれのお酒のスペックは違うので、必ずしも完全に正確な訳ではないのですが、段階を追って呑んでいくと、違いがわかって勉強になります。


その辛口の本醸造を呑みながら、どの肴がいいかという重大なテーマに挑んでいくのも今回の重要な目的。

写真のお皿は、12時の位置から時計回りに、チーズの塩麹漬け(ブラックペッパー風味)、わさびの醤油漬け、黒オリーブの唐辛子漬け、大根の塩麹漬け、するめ糀漬け(ラー油入り)、民田茄子のからし漬けです。
それぞれの、辛味成分も一緒に合わせてみようという考えですね。


みんなでワイワイ言いながら食べ呑み比べ、盛り上がってきた時に出てきたのが、精志さん自家製のベーコンの唐辛子漬け。
塩麹に漬けたベーコンをさらにもみじおろしに漬けたものです。塩麹を生かすために、あることに気をつけてベーコンを選ぶといいと、コツまで教えてもらいました。
これにはみんな納得。さらに日本酒のペースがあがるのでした。

終わってからも何人かで残って、おしゃべりをしていたら、あっという間に陽が落ちました。冬は本当に時間が経つのが早いです。


実は後半戦、「そして日本酒でモテ可能か。」というタイトルで、専務の為になる講演があったのですが、それは諸般の事情により、割愛させていただきます。(笑)


――――
・「小林酒造
住所 〒069-1521夕張郡栗山町錦3丁目109
電話 0123-72-1001
営業時間 記念館10:00-16:00(冬季期間中)

2011年12月28日水曜日

酒とともに、一年間を振り返る

12月15日木曜日。
今年最後のお酒の会は、いつもの「高雄」での忘年会。

バタバタして、ちゃんとしたタイトルも考えていなかったのですが、こちらのブログでは、素敵な名前がつけられていました。
ありがとうございます。

今回のテーマは、“ゆく酒くる酒”。
今年人気の出たお酒と、来年人気が出るであろうお酒を出してみました。
11人で6升なので、量としてはちょうど良かったかな。


今年世界を制したお酒や、 ついに札幌でも購入できるようになったお酒、若い人が造るこれからのお酒、今後注目されるであろう地域など、そしてさらに今日の料理のことなどを考えてお酒を決めてみました。
ただ呑むだけではなく、生と火入れの呑み比べなども入れてみましたが。

最初は、今年一年の僕の活動として、震災のことや、今年伺った蔵元さんや酒屋さんのお話などを少しさせていただきました。

その後は、あまり余計なことを考えずに、お酒と「高雄」の料理に突入します。
今回のために大将が用意してくれたのは、何と4kgを越える鮟鱇。
それを丸ごと楽しもうという趣向です。

まずは、愛媛の釣り鯖と、福岡の真鯛の刺身。
最初に美味しいお刺身が出ると、お酒を呑むスピードが加速します。


そしてここからは、ひたすら鮟鱇を楽しむ時間に突入。
あん肝ポン酢、1人前が大きすぎます。これだけで、お酒を何杯呑めるのでしょう。


そして、お楽しみの鮟鱇鍋。
焼いた鮟鱇の背骨でだしを取り、味噌と裏ごししたあん肝で味付けしたそうです。
新鮮な鮟鱇の身と肝がとっても美味しく、味噌味で気持ちも身体も温まります。
焼かれた葱の香ばしさが、食欲増進効果ありです。


身はさらに唐揚げで。
肉の繊維が密なのでプリプリしており、ついつい箸が進んでしまいます。
それだけでも美味しいのですが、特製のタレにつけて食べるとさらに美味しい。


と、これだけでも十分満足していたのに、さらに出てきたのは三元豚の味噌漬け。
とっても柔らかくて美味しいので箸を出します。さすがにお腹いっぱいです。


「お腹いっぱいだ。」とお腹を押さえていると、目の前にお漬物が3種類出てきました。
そうでした、鮟鱇鍋の最後の楽しみ、雑炊を忘れていました。


美味しいものが出てくると、
人間の食欲にはキリがないということが、
とっても良くわかりました。

たっぷりと鮟鱇のだしを吸い込んだ雑炊、本当に美味しかったです。
あれほど、お腹いっぱいだったのに、まだ食べられるのが不思議。

大将の「楽しんでほしい」という心遣いと、美味しいお酒と、楽しい会話であっという間に時間が過ぎていってしまいました。
初参加の方も何名かいらっしゃいましたが、みなさん楽しんでいただけたようです。

来年も楽しくお酒を呑めますように。
今年一年ありがとうございました。


――――
・「味処 高雄」(ブログ
住所 〒062-0931札幌市豊平区平岸1条7丁目3-6豊栄ハイツ1階
電話 011-833-0063
営業時間 18:00-24:00/日月曜不定休(電話・ブログ等で要事前確認)

2011年12月27日火曜日

未来を向いて ―新澤醸造店 川崎蔵―

宮城県柴田郡川崎町。
新澤醸造店の新しい川崎蔵におじゃましてきました。


川崎蔵は、以前は別の会社の蔵でした。
そこが廃業されたので、施設と周辺の山を買い取ったそうです。
山まで購入したのは、水の事を考えて。それほど、素晴らしい水質の土地だということですね。

仕込み蔵に入ると、まずリキュール用のスペースがあります。
ちょうどヨーグルトリキュールを仕込んでいるところでした。


日本酒の仕込み部屋を見てみると、写真のようにきれいな足場が組まれていました。
残っていた足場にさらに工夫を加えたそうです。

三本木蔵をご存じの方ならお分かりだと思いますが、以前の仕込み蔵は足場が狭く、初めてのってみた時はおっかなびっくりでした。
まるで綱渡りのような足場から、今回のゆとりのある足場へ。蔵人さんもかなり作業しやすくなったのではないでしょうか。

残された蔵の良いところはそのまま利用し、一方で新澤醸造店の動きやすいように改良する、そんな姿勢が感じられます。

おじゃました日は、ちょうど留のタンクがありました。これから約1か月をかけてどのようなお酒に成長していくのか楽しみです。他にも「伯楽星」の純米吟醸や、宮城県内向けの純米酒などが仕込まれていました。いろいろな米や酵母が使われ、それぞれのタンクごとに異なった香りがただよっています。
ようやく新澤醸造店が帰って来た気がしました。


釜場も非常に衛生的で、さらにクレーンの存在が作業をしやすくし、蒸米の水もきれいにきることができているそうです。
釜神さまも嬉しそうです。


酒母室とからし場も、それぞれ使い勝手が良さそうです。
酒母も元気に活動しているし、からし場の米はキラキラ輝いています。
人だけではなく、お酒も喜んでいるように思えませんか。


大きく変わったのが麹室です。
床を入れ、温度管理がしやすくなった上に、部屋が2つに仕切られているので、麹の管理が非常にしやすくなったそうです。


圧搾室では、「伯楽星」純米吟醸を搾っていました。
黄金色に光る新酒が印象的でした。


出荷場は別棟になっており、天井が高く広々としています。
フォークリフトも大活躍。
お酒が瓶に詰められラインを流れていくようすが、見ていて本当に嬉しい光景です。
蔵は生きています。


みなさんのようすを見ていると、今まで以上にのびのびと作業をされています。
建物の倒壊に怯えることなく、自分たちのお酒を造ることができる喜び。それを今強く感じているのではないでしょうか。

目の前で搾ったばかりのお酒と、数日前に搾ったお酒を利かせていただきました。
まず感じるのは今まで以上のキレの良さ、水の違いが大きな理由だということを感じます。
でも、それ以外にも蒸米・枯らし・麹、そしてその後の仕込みと、すべての工程がより洗練されることによって、酒質が変わって来たのだと強く思いました。

今回の移転についても、たまたまこの建物が空いていたから買ったのではなく、施設・水・環境など、考えうる最良の選択がこの川崎蔵だったのではないかと感じました。

でも、まだまだ蔵のようすが手の内には入っていないと思います。
蔵を自由に使いこなせるようになり、より自信を持ってお酒を造ることができるようになった時、「あたごのまつ」「伯楽星」はさらなる進化をとげることでしょう。
その日が楽しみです。