2012年2月14日火曜日

蔵仕事を学ぶ 1日目 ―栗山 小林酒造―

2月11・12日の両日、小林酒造に行ってきました。
今回はいつもの蔵見学ではなく、蔵仕事をさせてもらいに行きます。

いつもよりかなり早い、朝6時8分発の列車で出発。
岩見沢市は前日までバスが3日間運休だったので、車輛についた雪を見て不安になります。


岩見沢で軽いハプニングがありましたが、なんとか約束の時間に到着。
栗山はとんでもない雪です。


誰もいない蔵で、独り占めはちょっとぜいたく。


出麹のお手伝いをしてから、麹の切り返し、仕舞仕事、そして引き込みと室の一日の流れを見ることができました。

今までもあちこちの蔵で、室や麹のようすを見せてもらっていますが、今回一日かけて見たり手を入れたりしていく中で、麹の変化がよくわかり、それぞれの作業の意味も理解できるような気がしてきます。

蒸米を引きこんだ時に、硬いボールのような米が入ってました。流れる蒸気の向きと、一度に蒸す量でこういうことが起こるのだそうです。
機械の難しいところだと、蔵人さんが話してくれました。

この日は、他に仲仕込みの櫂入れや、蒸す前の米運びなどを行いました。
仕込みの量も、働く人も多いので、周りの動きを見ながらじゃまにならないように気をつけましたが、とにかく1日目は無我夢中です。


土日は半日上がりということで、大体12時半頃終了。
終わったら気持ちの良い天気になっていました。


よく働いたので、自分へのご褒美です。
「錦水庵」で昼から一杯。

自分で仕込みを手伝ったお酒ではないけれど、
お手伝いをしてより思い入れが強くなると、
それだけでお酒が美味しくなる不思議。


――――
・「小林酒造」
住所 〒069-1521夕張郡栗山町錦3丁目109
電話 0123-72-1001
営業時間 記念館10:00-16:00(冬季期間中)

・「錦水庵」
住所 〒069-1521夕張郡栗山町錦3丁目93
電話 0123-73-7171
営業時間 11:00-16:00/火曜定休

2012年2月10日金曜日

忘れない

2月6日から開催されている、「第63回さっぽろ雪まつり」。
大通12丁目の市民雪像広場に、このような雪像がありました。


7月と9月に、岩手県陸前高田市と大槌町にボランティアバスで行った男性が、「これからも被災地を応援するよ」とのメッセージを送ろうと、参加した仲間に声をかけて制作したものだそうです。

奇跡の一本松を、後ろから女の子と男の子が支え、さらにその後ろに6本の松が控えています。
「被災地の復興を今の子どもたちが支え、 松林がよみがえるように願いを込めた。」とのこと。
陸前高田ユースホステルまで、丁寧に作られています。


3月11日は、忘れたくても忘れられない日になりました。
一方で被災地の状況が、忘れられそうになっていることも事実です。

この雪像のニュースを聞いた人、写真を見た人たちに、遠く札幌の地から「忘れていない人がたくさんいるよ。」ということが、伝わって少しでも元気になってほしい。



同じ並びに、“ありがとウサギ”の雪像もありました。

不安なことはたくさんあるけれど、被災地に東北に、想いを寄せている人は、たくさんいるはずです。

「忘れてないよ。」
気持ちが伝わりますように。

2012年2月7日火曜日

酒造り見学と新酒を味わう+幻の泡汁

1月27日。
今年初の、「造り酒屋をもっと知る会 その126」に参加しました。

いつものようにのんびりとした光景を撮ろうとしたのですが、岩見沢を出発すると強烈な吹雪に見舞われ、栗山駅に着いた時には視界もかなり悪い状況でした。乗ってきた列車も真っ白。

でも、駅から小林酒造まで歩いていくと、徐々にきれいな青空が広がってきました。さっきまでの吹雪は何だったのでしょうか。

記念館に着くと、先月来た時よりもさらに雪が増え、相変わらず大きなつららが下がっています。まるで前髪のようです。
周りの建物を見ると、雪のお陰でいろいろなおじいさんの顔が見られますよ。


集合時間になるまで、いつものように記念館で試飲をします。
この時期は、来るたびに新しい蔵限定のお酒が入っているので、それも栗山まで来る楽しみの一つです。


極寒期の蔵見学は、蒸気と差し込む光が織り成す光景を楽しむことができます。
とっても幻想的。


精志専務が、スチームを使って何かを熱していますね。この時期、蔵だけで味わえる特別なものです。楽しみにしている参加者も、結構いるのではないでしょうか。

さて、お楽しみは後に残して、最盛期の仕込みの様子を見せてもらいました。
順番に仲、2日目、4日目、6日目のもろみです。それぞれの香りや表面の様子などから、発酵過程がわかって勉強になります。
微生物の働きって、本当に不思議。


仕込み蔵で冷えた身体を、先程専務が作ってくれた甘酒で温めました。身体中に優しい甘みが、じんわりと広がります。
スチームを使うからこそ、この優しい甘みが出るのだそうです。
家庭では出せない味でしょう。


仕込み蔵の外に出ると、また雪がしんしんと降りだしていました。
母屋を見てみると、ずんぐりとした雪に覆われて大変なことになっています。
このままでは、雪につぶされてしまいそう。早く助けてあげてほしい。


後半は、泡汁を楽しみます。
泡汁とは、タンクの縁についた発酵時の泡を三平汁に浮かべて食べる鍋料理。
発酵中の泡は持ち出し厳禁なので、蔵元限定の味です。


泡の香りともろみの風味が、塩味の効いた三平汁に良く合います。泡の効果をより実感してもらえるように、わざわざ山漬けの新巻鮭を使ってくれました。
ふんわりとした香りが食欲をそそり、みんながお代わりに殺到、ついつい食べ過ぎてしまうのです。

泡汁と北の錦を楽しみながら、精志さんの下で勉強会。いつもながら、例えが非常にユニークでわかりやすい。
日本酒が身近なものに感じられる講義です。


しぼりたてのお酒が中心だったので、ラベルがほとんどついていませんが、麹室が変わって2年目、去年よりは酒質が安定してきたように思います。

時間を忘れて精志さんとおしゃべりしていると、気がついたらまたもや周りが暗くなってきました。
ついつい、いつも長居をしてしまうので、気をつけないといけないですね。


しんしんと降り続く雪。
栗山町のポスターのそのものです。


――――
・「小林酒造」
住所 〒069-1521夕張郡栗山町錦3丁目109
電話 0123-72-1001
営業時間 記念館10:00-16:00(冬季期間中)

2012年2月4日土曜日

素朴料理 日本酒 あらまつ ―大阪熊取―

和歌山県に近い大阪府泉南郡熊取町、関西国際空港の近くと言った方がわかりやすいかもしれません。
静かな街の住宅街に「素朴料理 日本酒 あらまつ」があります。

一見お店には見えない佇まい。
それもそのはず、実は自宅でお客さんをおもてなしているのです。

shigeちゃんこと、荒松成徳さんが「あらまつ」を開いたのが、平成19(2007)年9月でした。
完全予約制の店として、地元泉州産の野菜と各地の豚にこだわり早4年。

今では1日1組限定とし、ゆったりとした時間の中で、料理と日本酒を楽しめるようになっています。

素材の良さを引き出すために、余計なことはせず、時には大胆にほとんど何もせず、でも必要であれば徹底的に手をかけていくというのが、「あらまつ」流でしょうか。

大根の焚いたん、出汁だけでシンプルに焚いた大根です。
単純な料理だけに、食べた時の感動が大きく、その後の料理が楽しみになってきます。「あらまつ」のお客さん、みんなが好きな大根です。

 
鳥羽産 赤ナマコの茶降り、番茶で炊いた赤ナマコです。
あくが抜け、ナマコの風味と歯応えを単純に楽しめます。


お酒は全国を回って来たshigeちゃんが、自分で選んだお酒ばかり。料理のじゃまをせず、料理と酒のお互いをひきたてるものが多いですね。


じゃがいも煮、出汁とバターでさらっと煮たじゃがいもです。
歯ごたえは残しながらも、土臭さはなくなり口の中でさらっと崩れる矛盾した感触。
火の通し方が絶妙なのでしょう。


ちぢみ菜とうすあげの煮浸し、美味しい野菜は茎に味があるのですが、このちぢみ菜は葉の味も濃くしっかりしています。
菜っ葉とうすあげとの相性の良さに気づいた先人に感謝ですね。


料理との相性も考えて、適切なお酒のアドバイスもしてもらえます。
有名無名に関係なく、しっかりと味を確認した上でお酒を選ぶshigeちゃん。前回あったお酒がなくなっていたりするかと思えば、新しい銘柄が入っていたりします。

そんなお酒との出会いも、楽しみの一つ。

イベリコ豚ロース ベジョータ血統100%の自家製塩麹漬グリル、豚肉は「あらまつ」がずっと力を入れてきた素材。塩麹で引き締まったのに、味は余計に濃くなります。
口に入れて噛んでみると、自然に笑いがこみあげてきます。


泉州沖の赤舌平目(ウシノシタ)の煮つけ、25cm近くあるウシノシタ。身の厚みと感触が、ついつい箸をつけてしまいます。煮汁の味が濃くもなく薄くもなくちょうどいい。ご飯にかけると美味しそうです。


ほうれん草の胡麻酢和え、味のしっかりした骨太なほうれん草。
泉州の大地の恵みです、本当に味の濃い野菜ばかり。「あらまつ」を知るまでは、泉州のことを何も知りませんでした。


いちごの白和え、ご飯に入る前にいちごで口直しというのが意外です。
白和えにすると酸味が抑えられて甘みが増すのですが、逆に口の中がすっきりするから不思議です。


ごはんとみそ汁、切干大根はりはり漬、名物?具のないみそ汁です。
あれだけ食べてきた胃袋が、ごはんで落ち着き、そしてみそ汁ですっきりします。


石川県の加賀野菜のひとつ五郎島金時、デザートも「あらまつ」風です。
柔らかく、ほどよい優しい甘みのさつまいも、温めて出すだけです。


楽しくおしゃべりしながら料理とお酒を味わっていると、いつの間にか外はすっかり暗くなっていました。
ちょっと遅めのお昼が気がついたら晩ご飯に、ずいぶんと食べたわけです。


玄関にかかる「あらまつ」の暖簾。
優しい灯が、shigeちゃんの人柄を表しているようです。


――――
・「素朴料理 日本酒 あらまつ」(ブログ)
住所 〒590-0454大阪府泉南郡熊取町新野田2丁目11-7
電話 072-486-6077
営業時間 12:00-21:00、予約時に確認(2日前までに要予約)

2012年1月29日日曜日

地酒BAR 膳 ―京都室町三条―

京都烏丸御池駅の近く、三条通を西に向かい室町通と交差する南西の角に、5階建てのビルがあります。
5階までエレベーターで上がると、ワンフロアすべてがペントハウス風のお店になっています。
今回の目的、「地酒BAR 膳」です。


木下善夫さんは、以前は別の仕事をしながら全国を回り、蔵元さんや酒屋さんとの交流を深めてきました。
その後京都で開かれた「地酒BAR 膳」は、何度か移転をくり返す度に木下さんの個性がより強くなっていきました。平成21年(2009)年12月18日に、今までの集大成として開かれたのが、今回のお店です。

木下さんは、昔の髪型から「パンチさん」として親しまれています。京都滋賀大阪の辺りでは、お燗ブラザーズの長男としても知られていますね。


「膳」のお酒は、無濾過生原酒を冷蔵庫で低温で寝かせた、いわゆる生熟のお酒です。しかし、寝かせる期間がこちらの常識を覆すような長さです。
ここに来ると、毎回ビックリするようなお酒に出会えるのですが、その中でも美味しかったお酒は、11年熟成した「瀧自慢」備前雄町純米吟醸7BYと、18年ほど熟成した「松の司」純米吟醸楽2BYでした。
蔵元さんにお話しすると「うちのお酒がそんなに長持ちするのですか?」とびっくりされます。どう保存されているのか、不思議です。

木下さんと言えば、「不老泉」です。
還暦のお祝い「座・燗暦の会」の時には、蔵元の上原さんがすべて特別ラベルのお酒を用意したのは有名な話です。それほどの強い繋がりがあるお2人です。
今回は同行者のために、入門編の不老泉をお願いしました。


毎回のアテと、マットに書かれた東海道の浮世絵も楽しみの一つです。
始めておじゃました時、自分の故郷の有松の浮世絵が出ていた時は、勝手に「膳」との強い縁を感じました。


冷蔵庫には、常時140種類ほどのお酒が入っています。
いつもながら、「どこでこのお酒を見つけてきたのですか?」と、ついつい聞いてしまうお酒ばかりです。
この日は2杯目に、「金鼓」純米吟醸8BYをいただきました。
ラベルの酵母を見てビックリします。よく今まで残っていましたね。


木下さんは、お酒が大好き。時には厳しい事も言いますが、その言葉の裏にはお酒への深い愛情が込められています。
静かなお店の中で、木下さんと楽しく酒談議をしていると、あっという間に12時を過ぎてしまい、終電を乗り過ごすほど。


京都に来たら、必ず〆におじゃましたいお店ですね。
でも、楽しいだけに呑みすぎ注意です。


――――
・「地酒BAR 膳」(ブログ)
住所 〒604-8203京都市中京区室町通三条西入衣棚61-1三笠ビル5階
電話 075-241-4007
営業時間 電話で確認することをおススメします