2012年8月25日土曜日

歴史の継承 ―新澤醸造店 三本木蔵―

旧宮城県志田郡三本木町。現在の大崎市三本木、新澤醸造店がある街です。
いつの時代も豊かな、鳴瀬川のほとりの穀倉地帯で、新澤醸造店は発展しました。


平成23(2011)年3月11日、東日本大震災による震度6強の地震で、新澤醸造店は全壊指定を受けました。
川崎蔵に造りの中心を移してからも、しばらくは建物が残っていたのですが、今年ついに解体されてしまいました。
解体された跡地を、見に来ました。

三本木のバス停で降りて、いつもの場所に立ちます。
建物だけではなく、門柱や塀も含めてすべてがなくなっていました。

事務所はどこか見てみると、すぐ左にあるとの看板が。
古い洋品店が、新澤醸造店の仮店舗になっていました。


蔵の敷地に戻って、全体を眺めて見ました。
「思っていたより狭い場所にあったんだな…」というのが正直な感想でしたが、後日杉原専務とお話しした時には、「思ったより、広いんだな…と思いました。」との感想を持たれたとのことでした。


蔵へと続いた道、解体前は道の右側に事務所と母屋があり、その向こうに3棟の蔵が立っていました。


みんなでワイワイとお昼を食べた場所も、今は更地となり、奥にコンテナだけが残っています。


コンテナの前に、ぽつんと犬小屋がありました。
人がいなくて活気がないと、とても寂しいね。

敷地の奥から、入り口側(道路側)を見てみました。
右手奥の道路側に見えるのが、現在の仮店舗です。こうやって見ると、結構広いのかもしれません。
左手の仙台銀行跡も近々更地になり、道路側に新澤醸造店の店舗と母屋を建て直すそうです。
残りの土地も、有効に使うことができるように、いろいろと考えているとのことでした。


新澤さんが来られたので、店舗の方におじゃましました。
札幌のみんなから送られた写真が、新澤さんの机から見える場所に、大事に飾られていました。


仮店舗の中には、蔵から運び出された昔のものがたくさん飾られていました。
新澤醸造店に縁の深い、土井晩翠の歌や愛宕の松の写真など。

古いかけ時計は、いずれまた動かしたいと思っているそうです。こうして新澤醸造店の歴史が、また紡がれていくのですね。


目に着く場所に、大きく名前の入った皮の鞄が大切に置かれていました。
新澤順吉さん、この方が、新澤醸造店を発展させたのだそうです。一番賑やかだった頃のお話も聞かせていただきました。


新澤醸造店の繁栄を表す琺瑯の看板。
新しい店舗に、この看板がかけられる日を楽しみに待ちます。


「写真をたくさん撮っておいてくださいね。」と新澤さんに言われました。
「以前あった三本木蔵と、現在の仮店舗、そして未来の三本木、さらには川崎蔵と新澤醸造店のすべてを見ておいてください。」と言っていただきました。
大切に記録しておきたいと思っています。

今回の訪問でも、やっぱり三本木は晴れでした。
青空に、鎮守様の木々が生えます。何度来ても、気持ちが良くなる場所です。


造りは川崎に移っても、新澤醸造店の心は三本木にあるのです。


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・「新澤醸造店(三本木本社)」
住所 〒989-6321 宮城県大崎市三本木北町63
電話 0229-52-3002

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